<ネット上のトラブル>

年々増加しまた進化するネット上のトラブル・詐欺事件には、なかなかついて行けないというのが、一般市民の実感ではないでしょうか? これは、さまざま起こるネット事件の根っこは、裏組織がはたらいているからです。個人的な犯罪ではなく、大きな闇組織が動いているため、ブレイン軍団の考え出す悪知恵の質もどんどん高度・多様化し次々に新手の手口が出てきます。取り締まる警察と賊とのいたちごっこも、終わる兆し・望みはありません。

子どもたちや善良な市民を守るため、専門的に啓発活動をする部局もありいろいろな啓発パンフレットも出ていますし、小中学校でも保護者向けに関連の講演会・研修会がしばしば開催されています。

現在子どもたちの日常生活の中でのネット問題を整理してみますと、基本的な問題は、以下の4つほどになるようです。

①自分や家族の写真・動画をネット上にアップしたものがねらわれ、いじめに利用されたりする。

②ライン・メール上のことばのやりとりに、十分な配慮に欠けていることから、真意・本意が伝わらず、誤解・反感が広がってしまう。

③ライン上で知り合った人と実際に会ったが、写真の人と違っていて、被害に遭う。

④「闇バイト」や偽(にせ)ホームページを通じ申し込みをしてしまい、悪の道に入り込んでしまったり、入金したのに注文した品物が来ない。

次回より、それぞれについて、はまり込まないような心得・対策などを考えてみましょう。

悩みごとを相談するネットの向こう側には、こんな人かも!?と疑ってみることも大事(上上流信秀(かみずるのぶひで)筆・「考えよう!みんなのケータイ・スマホ」岐阜新聞2017年12月12日)

 

<IT機器のメリット・デメリット>

どんなに便利で最新の道具・機器でも、それそれメリット・デメリットがあるように、最新のパソコン・スマホ・タブレット・ゲーム機も、完璧・完全ということはなく、いつかは故障・老朽化して修理もできず廃棄せざるを得なくなる、などの何らかの不便さ・使いにくさを抱えているので、それらを我慢・妥協したり、順応することで克服しながら皆さんは使っているわけです。まずは、ネット機材のメリットから確認していきましょう。

①調べもの・情報獲得の素早さ

普段の生活上や業務上でわからないこと・調べたいこと・疑問に思ったことは、ネット上で常識的・一般的な答えならば容易に獲得できるようになりました。国際政治経済・歴史といったマクロ・グローバルな問題から、科学・外国語・文化・芸術・芸能そして日常生活上のさまざまな問題に至るまで、あらゆる分野の問題・疑問に何らかの答えが瞬時に掲示されます。ネットのない時代ならば、関連の本を買ったり図書館で調べたり本を借りたり、また専門家を訪ねて行って質問したりしていたわけです。あまりに容易なため、本当にその情報が真実か?自分の頭の中でじっくりと温めながら吟味する、という余地を現代人は忘れがちなくらいです。あまりに便利なため、これに頼り切ってしまい、自分で確かめる手応え・喜びを忘れそうです。このことの半面・デメリットに関しては、また後日考察したいと思います。

②通信

これまで手紙を郵送したりFAXで送受信していた文書・写真・図などのやりとりを、メール・ラインなどで、安価で・容易に・瞬時に送信できるようになりました。

③他者とつながる

チャットなどのライン上の自由なサイトで、ある関心事・テーマのもと、いくらでも他の人とつながって交流できるようになりました。あまりに広範で容易なため、「出会い系サイト」など危険なツール・方策も通用されています。

④商品の売買

何でも必要なものは、店舗まで足を運ばなくても、ネット上で注文・購入できますし、メルカリなど、個人で不要なものを売ったりできます。

⑤ネット会議

オンライン会議とも言います。コロナ期で対面の会合が控えられたため、事務所・事業所を中心にこの装置がずいぶん広がりました。

 

ITやネットの機能としては他にもたくさんあるのでしょうが、この方面の知識は私は平均以下でしょう。急がずあわてずじっくりと、をモットーに使用の幅を広げていきたいと思っています。

デメリットに関しては、次回以降にいろいろと考えていきたいと思います。

<デジタル機器の発達・普及について>

近年、パソコン・スマホ・I-padなどのタブレットなど、IT機器が急速に普及し現在もなお日進月歩で進化しており、小・中学校でも生徒一人一台タブレットを貸し出してもらって、子どもたちは授業に・ゲームに・プログラミングに・オンライン授業にと、幅広くのびのびと使わせてもらえる時代になり、メリットは計り知れないと思えるようです。コロナ期でのオンライン授業など、風邪やコロナ発症での欠席にも、先生の補習業務を省力化するなど、良いこともたくさんあります。

また、スマホでもちょっと疑問に思ったこと・調べたいことは何でも瞬時に専門的な知識・情報は得られますし、面白いゲーム・好きな音楽のダウンロード・外国語の翻訳・インスタグラムやツイッターなどの情報発信・ラインでのデータ送受信・ネット通販・振り込みなどなど、挙げだしたらきりがないほど使用機能は拡大しつつあります。

けれども前回も述べましたように、便利なツールである反面、ネット詐欺・ゲーム中毒・視力への悪影響・現実乖離・体力低下など、新しいツールに依存しすぎた上でのデメリットも、近年多く指摘されています。

数十年前に遡(さかのぼ)るだけでも、自家用車がなくてどこへ行くにも歩くか自転車、公共バス・電車だけだった時代があり、当時は毎日数十キロ歩いて仕事をしていた人々が多くいたり、「ワープロ」「パソコン」で文章を作成することで、自分で漢字を思い出すことがしづらくなったことを実感したり、車を運転するときナビゲーターに頼ることで交通経路を覚えたり地図を読み取る能力が低下したりする、ということを鑑(かんが)みると、デジタル機器に限らず、便利な近代・現代機器に頼ることで人間はどんどん従来の能力を低下させていることに気づかされます。

子どもの教育も、そうした現代社会の劇的な変化のまっただ中にあり、良きにつけ悪しきにつけ大いに影響を受けている、ということをまずはしっかりと自覚する必要があると思います。そうすると、こうしたIT機器に飲み込まれてしまう・使われてしまう、という悪循環に陥らずに、逆に人間が主体性・自立性を失わずに主体的にIT機器を使いこなす姿勢を保ち続けることでしょう。

次回から、そのための心得・知識を一つずつじっくりと探っていきたいと思います。

 

<子どものゲーム機・スマホの功罪について>

子どものおもちゃの話をするとなると、やはりゲーム機・スマホなどに触れざるを得ませんよね。誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントなどにあげたりもらったりする方も、今の時代では珍しくないでしょう。

確かに、今の時代のスマホやゲーム機は、子どもたちがすぐに興味を持ち、簡単にルールを理解したり操作したりでき、そしてどんどんのめり込むように、プロの製作者がしのぎを削って作っていますから、抵抗力・批判力・吟味力のまだまだ未熟な子どもたちは、当人も保護者も油断していると、一日中・昼夜問わずゲームばかりやっている、という状態・生活習慣にハマってしまいます。

こうした現代特有の状況に陥ってきたのは、今(2024年)から20数年前と言っていいでしょうから、乳幼児をもつ今ドキの若いお母さんお父さんは、生まれてものごころついた時から、すでに当たり前のようにスマホ・ゲーム機は存在し生活上の必須の道具や遊具として使われていて、それを当たり前の日常風景と見てきているわけです。

ですが、そこには少なからぬデメリット・リスクも潜んでいるわけです。今の時代、SNS上で誹謗中傷が「炎上した」などということは全然珍しくない出来事ですよね。また、これまでこうしたIT機器に全面的に頼って子育てしてしまい、子どもの発達不全の実例が多く報告されてきていることも事実です。私が目にして集めた資料だけでも、以下のようなものがあります。

岡田尊司著『脳内汚染』文芸春秋刊・2005年

〃   著『脳内汚染からの脱出』〃 刊・2007年

中山秀紀著『スマホ依存からの脳を守る』朝日新書・2020年

「触れ合い育児の大切さ~スマホ育児の弊害と対応~」(『ふたば』公益財団法人・母子健康協会編・2018年・前川喜平氏・古野陽一氏・村田光範氏らの講演)

「子どもの脳を壊す~新説「半ゲーム脳」という恐怖」(『ASAHI SHIⅯBUN WEEKLY AERA』2002.7.15浜田敬子編)

「ついついスマホ~脳にどんな影響が?~脳科学者・榊浩平さんに聞く~」朝日新聞2024.12.4記事

他にもたくさんありますが、これらのほとんどが口をそろえて、「スマホ漬け・ゲーム漬けは、脳内の「自分の中で自然に沸き上がってきた疑問を、じっくりと考え、理解し人とうまくコミュニケーションする能力・感情を自己制御(セルフコントロール)する力をつかさどる「前頭前野」が発達しない・衰える・破壊されることが分かってきた。」と主張しています。

これまでも本欄で、人間的な温かい触れ合い・スキンシップが乳幼児の心身の健全な発達にとって大切なことを、縷々(るる)述べてきましたが、次回から、スマホ・SNSのメリットとリスク、セキュリテイにどう取り組んでいったらいいか? 他の遊びとのバランス、ルール作りなどの問題などを考えていきたいと思います。

<おもちゃの選び方>

前回は、身近な生活にいくらでもある生活用品・生活廃材が、子どもにとってはいくらでも遊び道具・おもちゃになり得ること、子どもの創造性・想像力を養うことを述べました。危険性に配慮しながら、紙・箱・プラスチック・ゴム・材木・竹・皮・ひも・リボンなどの生活廃材を、生活に邪魔にならない程度に整理してストックしておくと、子どもとの話題の中で「アッ!! あれ使える!!」とひらめくことがあります。

それでも、やはり誕生日プレゼントなどは、市販されているものを買ってあげることもあるでしょう。そのときのヒントとして、東海女子短大教授の白幡久美子さんは、以下のように述べています。

幼児・児童は「よくごっこ遊びをします。それに使うままごとの道具があげられます。それから、創造と構成遊びのためのおもちゃとして、積み木やブロックがあげられます。運動のためにはボールや三輪車が使われます。いろいろあげましたが、材料として使えるもの、創造性を高めるものを選んであげてほしいと思います。作品としてしか楽しめないおもちゃではすぐ飽きてしまうからです。」(岐阜新聞1992年11月20日「岐阜放送テレビ・アンヨはじょうず)

手前味噌ですが、私の場合は「レゴブロック」でした。私の小学生時代は1960年代~1970年代ですから、高度経済成長の前半ころです。誕生日などの特別な日にたまに小さなセットを買ってもらって少しずつふやしていくという状況でしたが、自分の持っている材料をいかにうまく生かして新しいものを作るか、という課題に日曜日などは一日中取り組んでいました。これで私は幾何学的な能力・感性や、手先をよく動かして器用さを鍛えたように思います。

もちろん、当時の少年少女の平均的・典型的な遊びであるかくれんぼ・メンコ・こま回し・けん玉・ろくむし(ネットで調べられます)・缶蹴り・十字架周り・陣地取り・プラモデル作り・角材製作など、挙げだしたらきりがないほど多くの種類で遊び込みましたが、その中でも群を抜いていたのが、レゴ遊びでした。