「体や脳の機能を高めるために、各種のスポーツ教室、音楽教室、学習塾に通わせている親がいますが、車での送り迎えが多いように思います。車を使わずに足を利用させるべきだと考えます。足を使えば健康維持や増進になるばかりでなく、脳の働きの強化に大いに役立つことは医学的にも、経験上からも十分に証明されているからです。
指を使うこと、手首を使うことも足と同じように重要なことです。日本人は手先が器用で脳の働きがよいのも、幼児のころから箸を用いてきたからだと言われています。もちろん箸の使用がそのすべての要因ではないにしても、箸の使用と脳の発達とは切れない関係にあるというのが常識的な考えになっています。精密機器が日本で発達したのは箸の利用と欠かせない因果関係にあると世界の人たちからも見られているのです。」
「子どもは野山を走り、石ころとか木ぎれを手にして遊びまわれることが重要なのです。子ども時代の身体も脳も精神も高められ伸びる時に、家の中でおとなしく閉じこもっているようでは将来はあかるくなる可能性が少ないのです。」(宇佐美覚了著・前掲書・81~82ページ)
私の世代が小中学生のころは、今のほとんどの子どもたちが持っているゲーム機・スマホ・i-pad・タブレット端末など、コンピューター機器などまったくありませんでした。遊びと言えば、野原でかけまわっておにごっこ・かくれんぼ・かんけり・秘密基地つくりなどの冒険ごっこ・小枝や古ハリガネなどで自分で使ったパチンコなどでした。室内でのちょっと精巧なものとしては、マッチ棒・割りばし・角材などで、船・東京タワー・お城のミニチュア・レプリカ作りでした。ハサミを初め、ナイフ・カッターなどで時折失敗して手を切ったりしながら、そうした経験によってこそ危険を避ける安全なナイフの使い方を自ら体得していったのです。
やけどを一度もしたことのない人はいないように、失敗も、生活上必要なことは何度も体験することによって学び、器用さ・技能・安全性を身に着けていくんですよね。