<性教育について②>

性・生殖・出産という生理的問題は、私たちの生命(いのち)の根本問題であり、生物学・人類学といった科学的にも驚異・神秘に満ちた現象であり、決していいかげん・オチャラケにすませていい問題ではありません。新しい生命(いのち)を授かる不思議さに私たちがまず驚き、喜び、その生命の要求・声・訴えに真摯に耳を傾け見つめていくことから始めなくてはなりません。

埼玉大学の田代美江子教授(ジェンダー教育学)は、人権を基盤とした性の教育「包括的性教育」が、これからの時代はすべての人々が学ばなくてはならないと訴えられています。

「人権」と言うと、難しい法律やややこしい裁判の問題、あるいは何でもかんでも要求したもん勝ちといった贅沢なイメージがつきまといがちですが、人権とは、大地震や暴風雨といった自然災害や、戦争などの人為災害などの時に失われがちな、衣・食・住や生業(なりわい)の最低限の条件・機会を奪われないように、社会全体が協力してお互いに守り合っていこう、という発想からつくられていくさまざまな社会の約束ごとのことです。人があたりまえに感じ、考え、愛し、求めていくことを尊重し、他からの何らかの障壁が加わることを取り除こうという考え方です。

そのためには、さまざまな学びが必要となります。「包括的性教育は、体の発達や生殖などの生物学的な面に加え、ジェンダー平等や性の多様性といった社会・文化的側面を含め、幅広く性を学びます。自らの健康や安全について考え、より良い人間関係を築き、幸せに生きるための選択ができる力を育むことを目指します。」

(田代美江子氏・朝日新聞2023年11月29日)

ここ30~40年くらいで小中学校での教育も、かなり変わってきているようです。ネットや新聞などでも学習を進めていきたいですね。