0~3歳;かわいがることが、心をたくましくします。
脳の神経細胞が増え続ける時期ですが、神経伝達回路はまだ未熟で、大好きなお母さんお父さんからたくさん愛情を受けることが脳の発達に良い影響を与えます。
3~7歳;子どもの気持ちの整理を手伝いましょう。
増え続けた脳の神経細胞のうち、不用な細胞が消去される「間引き現象」が起きます。脳の神経細胞のベースを作って、脳の基礎を作ります。
7~10歳;自ら学ぶ習慣が「本物の頭の良さ」を育てます。
脳がほぼ大人と同じ状態になります。「自分でやりたい」気持ちが強まり「自己報酬群」が発達していきます。「自主性」が大事になります。
10歳~;努力したことに胸を張りたくなるようなほめ方を心がけましょう。
ここからが勉強適齢期です。頑張っていたら「すごいね!」とほめて、子どもの自尊心を刺激していきましょう。
(林(はやし)成(なり)之(ゆき)日本大学医学教授 『PHPのびのび子育て』2013.12月号)
「はやくはやく」「もっと上手に」「もっと立派に」などと追い求めてばかりでは、子どもも親も疲れてしまいます。発達段階を順に追ってじっくりと進んでいくことが大切ですね。あと、この発達段階は、あくまで「平均」「標準」であり、個人差もたくさんあることは、頭の片隅に入れておきたいですね。
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今、自分で考えられる子が減っている!
「一般に生活が便利・豊かになると、人は工夫したり節約したりしながら生活する必要が次第になくなっていきます。この「工夫する」「節約する」ということがすなわち「考える」ということなのです。」そして「親がわが子の教育に熱心になるあまり、あれこれ指示することが増える場合は問題です。親が具体的に指示して従わせようとすることは、「考えるのはお母さん。あなたはお母さんの考えに従えばいいのよ」というメッセージを送ることに他ならないからです。これでは子どもの自ら考えようとする力は身につきません。考えるというのはもともと「自ら」考えるということ。その力を身につけさせるためには、あらゆる場合で、子ども自身に考えさせるようにていねいにかかわり続けるしかないのです。
幸い、人間には考えたいという本能のようなものがあります。幼い子どもほどそれが豊かです。考えたいというのは「もっと工夫したい」「もっと楽にしたい」「もっと面白くしたい」などという気持ちが生み出すものですから、そういう状況をつくるように配慮すれば、子どもはどんどん考え出すのです。」(汐見稔幸(しおみとしゆき)氏・白梅学院大学学長・『PHPのびのび子育て「考える力」が育つ最高の習慣」』2011年6月号24~25ページ)
子どもを「信じて」「任せて」「黙って」「待つ」(同書56ページ)ことが、難しいですが大切なのですね。
逆説の子育て・手元の物で考え遊ぶ
出来合いのおもちゃばかり与えると、子どもは創造力を発達させないのではないかと考える教育専門家は多くいらっしゃると思います。私もアナログ系タイプの人間としてそうした考えに同意し、スマホやゲーム機器で決まり切った方法・ルールで遊ばされている今ドキの子どもたちを心配していますが、教育ジャーナリストおおたとしまささんは、いろいろと楽しい手作り遊びを紹介していらっしゃいます。
「例えば手元に一本のロープがあるとします。どんな遊びができるでしょうか。縄跳びも電車ごっこもできるでしょう。床に土俵をつくってお相撲をしてもいい。ロープを何重にも結んで団子状にしてそれをほどかせる遊びも、知恵の輪みたいで面白いですよ。新聞紙ではどうでしょう? チャンバラごっこは定番ですね。ボール状に丸めてゴミ箱めがけてシュートすれば、「ゴミ箱バスケット」になります。ひらがなを練習中なら、「このページの中から『か』という字を探してごらん」と言って文字を探させても盛り上がります。」「手元にあるものを使ってどれだけバリエーション豊かな遊びを発想できるか、親のセンスが問われるところです。子どもに創造力のお手本を見せてあげましょう。そうすれば、きっと子どもも、創意工夫ができる人になるはずです。」(岐阜新聞2014年8月29日)
さすがは教育ジャーナリストですよね。この考え方ならいくらでも手元にある物で遊びを作れそうですね。
子どもの知能を伸ばすドーパミンを出す「ワクワクドキドキ」
「子どもは親同士が会話をしていたら、意味や内容はわからなくても聞いているものです。お父さんが観ているテレビを観てもいるし、お母さんがキッチンで料理している音だって聞いている。つまり、家の中の日々の出来事からさえ、子どもというのはたくさんの刺激を受けているのです。そして、それによって脳の中ではドーパミンを出す神経回路が次々とつくられていくのです。」(『5歳までにやっておきたい本当にかしこい脳の育て方』茂木健一郎著・日本実業出版社・35頁)「ご両親が本をたくさん読んだり、いろんなニュースに敏感だったりする勉強熱心な家庭では、子どもも「学びたい」という欲求を強く持ち、またご両親が外出を好み積極的にいろいろなところに出かけていく家庭では、好奇心や探究心の強い子どもに育つのです。そこに家庭の経済格差は関係ありません。」(同書38頁)「乳幼児は両親が思っている以上に親の顔をよく観察しているもので、アメリカの心理学者アンドルー・N・メルツォフは、生後数週間の新生児であっても、すでに大人の表情をまねするという「新生児模倣」現象を証明・報告しています。昔から「子どもは親の背中を見て育つ」といいますが、いうなれば、子は親の心を感じて育つのです。親の笑顔やポジティブな心を感じると、子どもは感情表現が豊かになり、ワクワクドキドキしやすくなるので、ドーパミンも出やすくなります。」「両親がフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを意識するだけで、子どもに笑顔がどんどん増えていきます。」(同書159~160頁)
まずは、ごくごく身近な日常生活を興味深く丁寧に見つめていくことが大切なのですね。
〈ノーベル物理学賞受賞・真鍋淑郎さん「好奇心持って」〉
今の時期の毎年恒例の話題であるノーベル賞に、昨年、日本人学者の真鍋(まなべ)淑郎(しゆくろう)さんが、環境問題・地球温暖化の分析に役立つ重要な研究を評価され物理学賞を受賞されました。まさに快挙ですが、真鍋さんは授賞式後の記者取材で、「自分が本当に得意なことをやれば、研究は楽しくてやめられなくなる。」と熱く語られました。20代で研究渡米されたことが「人生で最も重要な決断だった」そうです。(岐阜新聞2021年12月8日記事) 日本では専門的にはなかなか自由に好きな研究に打ち込む環境が整ってなくてくすぶっていたが、チャンスに恵まれて外国へ留学してからやっと初めて芽を出して超一流の研究者になる例をよく聞きます。
遺伝子学・生命科学の権威・村上和雄氏(故人)も、同様の例のようですし、近似の主張をされています。
「いままで脳の働きは先天的に決められていると考えられていましたが、そうではありません。眠っている遺伝子をONにすれば誰でも天才なのです。なぜなら、人間のゲノムは天才も凡才も99.5%以上は同じにできているからです。しかも環境変化や心の持ち方でも遺伝子ONは可能です。」(『コロナの暗号 人間はどこまで生存可能か?』村上和雄著・幻冬舎・2021 143頁)
これらの方々の言われるように、偉業を成し遂げる人とは、特別な才能を秘めている「一部の特別な人」というよりも、幼少のころから自分の好きなことに十分時間をかけて無理強いすることなくとことん打ち込ませてもらって、遺伝子をONにする環境を整えられた人、ということなのでしょうね。