<いじめについて>

小学校・中学校など、多くの児童・生徒が継続的・定期的に集まる集団・団体・組織・場の中では、古今東西・老若男女を問わず、いじめが起きる可能性を秘めている、と言ってもいいでしょう。これは、職場・地域社会のサークルなどの大人の社会でも同じです。昨今、子どもたちの社会でいじめや居場所のなさなどから、子どもの自殺事件がしばしば起こっており、親世代を心配させていますので、少し腰を据えてこの問題について考えてみましょう。

私自身、一過性ではありましたが、小学校中学年のころ(4年生)、特定のいじめ首謀者(ガキ大将)によるいじめに遭い、とても悲しい思いをしました。また、中学生のときにも、自分が標的にこそなりませんでしたが、所属するクラスや、他のクラスなどでいじめの実態と思われる事実を見聞きしたこともあります。(今から50年前のことです。)昔から、いじめは常に起こっていたのです。

いじめには、心理的ないじめ(暴言・悪口・陰口・嫌み・シカトなど)・生理的ないじめ(暴力・体罰など)・物理的ないじめ(所有物を隠す・ゆすり・たかりなど)など多種多様なものがありますが、いずれにしても当事者に深い悲しみをもたらし、被害者の自尊感情・安心感を奪い取っていき、「自分は生きていてもしょうがない」と思うほど自暴自棄の心境に陥っていきます。

こうした状況にならないためにも、できる限り早く本人・周囲の関係者・仲間が気づき、対策をしっかりと皆で考え実行する、という他に方策はないでしょう。

教育学者・芹沢俊介(せりざわしゅんすけ)氏は、「親や教員が、いじめという参加型集団暴力に自己保身から加担してしまう、といった人間的な弱さを持ち合わせているという自覚は、いじめを自分事として取り組む姿勢を生みだす基盤になるのである。」「親や教員として、こうした知識・姿勢を、日々、子どもたちの世界との関連において、具体的に示し続けることである。」「教員が日頃、子どもたちとの信頼関係が築けているなら、いじめは起き難いし、起きても介入はすばやく容易であろう。」と述べています。(『養育事典』芹沢俊介他著・明石書店・2014・P63~74)

また仏教では、どんな人間でも(医者・警察官・弁護士・教員・大臣・大統領・社長・僧侶など)、欲や怒り・自己中心の心を持ち合わせている、と説きます。これを「三毒の煩悩(ぼんのう)」と言います。

  • 貪欲(とんよく):金や物の欲・なまけ欲・名誉欲・性欲・食欲を、どこまでも追求し続けること
  • 瞋恚(しんに):他者をねたみ・うらみ、陰に陽に攻撃すること
  • 愚痴(ぐち):①②という自己の現実に気づかず・自己コントロールできず、社会生活において暴走させてしまうこと

これが人間の真相である、と仏教・お釈迦さまは喝破(かっぱ)したのです。しかし、これがわれわれ人間の真実であるが、そうかと言ってそれをそのまま野放し・放任・放置するのではなく、こうした人間の真実を知ってそこから仏さまのことばを聞くことにより社会生活においては煩悩をセルフコントロールできるような能力を身に着けていくことは、いじめなどの出来事に打ち負かされないために大切・必要なことでしょう。

現実の生活の中でどうしてもそのような事態に陥りそうになったときは、信頼できる仲間・知人に相談したり、以下の公共の相談窓口があります。遠慮・躊躇しないで相談しましょう。

  • 岐阜県教育委員会「子どもSOS24」TEL0120―0-78310
  • 岐阜県教育委員会「教育相談ほほえみダイヤル」TEL0120-745-070
  • 岐阜県教育委員会 学校安全課 教育相談係 TEL058-271-3328
  • 岐阜県青少年SOSセンター TEL0120-247-505
  • 岐阜県こころのダイヤル119番 TEL058-233―0119
  • 警察本部少年サポートセンター TEL0120-783-800
  • 岐阜県子ども・家庭電話相談室 TEL0120-76-1152 058-213-8080
  • 子どもの人権110番 TEL0120-007-110