<子どものゲーム機・スマホの功罪について>

子どものおもちゃの話をするとなると、やはりゲーム機・スマホなどに触れざるを得ませんよね。誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントなどにあげたりもらったりする方も、今の時代では珍しくないでしょう。

確かに、今の時代のスマホやゲーム機は、子どもたちがすぐに興味を持ち、簡単にルールを理解したり操作したりでき、そしてどんどんのめり込むように、プロの製作者がしのぎを削って作っていますから、抵抗力・批判力・吟味力のまだまだ未熟な子どもたちは、当人も保護者も油断していると、一日中・昼夜問わずゲームばかりやっている、という状態・生活習慣にハマってしまいます。

こうした現代特有の状況に陥ってきたのは、今(2024年)から20数年前と言っていいでしょうから、乳幼児をもつ今ドキの若いお母さんお父さんは、生まれてものごころついた時から、すでに当たり前のようにスマホ・ゲーム機は存在し生活上の必須の道具や遊具として使われていて、それを当たり前の日常風景と見てきているわけです。

ですが、そこには少なからぬデメリット・リスクも潜んでいるわけです。今の時代、SNS上で誹謗中傷が「炎上した」などということは全然珍しくない出来事ですよね。また、これまでこうしたIT機器に全面的に頼って子育てしてしまい、子どもの発達不全の実例が多く報告されてきていることも事実です。私が目にして集めた資料だけでも、以下のようなものがあります。

岡田尊司著『脳内汚染』文芸春秋刊・2005年

〃   著『脳内汚染からの脱出』〃 刊・2007年

中山秀紀著『スマホ依存からの脳を守る』朝日新書・2020年

「触れ合い育児の大切さ~スマホ育児の弊害と対応~」(『ふたば』公益財団法人・母子健康協会編・2018年・前川喜平氏・古野陽一氏・村田光範氏らの講演)

「子どもの脳を壊す~新説「半ゲーム脳」という恐怖」(『ASAHI SHIⅯBUN WEEKLY AERA』2002.7.15浜田敬子編)

「ついついスマホ~脳にどんな影響が?~脳科学者・榊浩平さんに聞く~」朝日新聞2024.12.4記事

他にもたくさんありますが、これらのほとんどが口をそろえて、「スマホ漬け・ゲーム漬けは、脳内の「自分の中で自然に沸き上がってきた疑問を、じっくりと考え、理解し人とうまくコミュニケーションする能力・感情を自己制御(セルフコントロール)する力をつかさどる「前頭前野」が発達しない・衰える・破壊されることが分かってきた。」と主張しています。

これまでも本欄で、人間的な温かい触れ合い・スキンシップが乳幼児の心身の健全な発達にとって大切なことを、縷々(るる)述べてきましたが、次回から、スマホ・SNSのメリットとリスク、セキュリテイにどう取り組んでいったらいいか? 他の遊びとのバランス、ルール作りなどの問題などを考えていきたいと思います。

<おもちゃの選び方>

前回は、身近な生活にいくらでもある生活用品・生活廃材が、子どもにとってはいくらでも遊び道具・おもちゃになり得ること、子どもの創造性・想像力を養うことを述べました。危険性に配慮しながら、紙・箱・プラスチック・ゴム・材木・竹・皮・ひも・リボンなどの生活廃材を、生活に邪魔にならない程度に整理してストックしておくと、子どもとの話題の中で「アッ!! あれ使える!!」とひらめくことがあります。

それでも、やはり誕生日プレゼントなどは、市販されているものを買ってあげることもあるでしょう。そのときのヒントとして、東海女子短大教授の白幡久美子さんは、以下のように述べています。

幼児・児童は「よくごっこ遊びをします。それに使うままごとの道具があげられます。それから、創造と構成遊びのためのおもちゃとして、積み木やブロックがあげられます。運動のためにはボールや三輪車が使われます。いろいろあげましたが、材料として使えるもの、創造性を高めるものを選んであげてほしいと思います。作品としてしか楽しめないおもちゃではすぐ飽きてしまうからです。」(岐阜新聞1992年11月20日「岐阜放送テレビ・アンヨはじょうず)

手前味噌ですが、私の場合は「レゴブロック」でした。私の小学生時代は1960年代~1970年代ですから、高度経済成長の前半ころです。誕生日などの特別な日にたまに小さなセットを買ってもらって少しずつふやしていくという状況でしたが、自分の持っている材料をいかにうまく生かして新しいものを作るか、という課題に日曜日などは一日中取り組んでいました。これで私は幾何学的な能力・感性や、手先をよく動かして器用さを鍛えたように思います。

もちろん、当時の少年少女の平均的・典型的な遊びであるかくれんぼ・メンコ・こま回し・けん玉・ろくむし(ネットで調べられます)・缶蹴り・十字架周り・陣地取り・プラモデル作り・角材製作など、挙げだしたらきりがないほど多くの種類で遊び込みましたが、その中でも群を抜いていたのが、レゴ遊びでした。

<子どもにとっては、がらくたも宝物~子どものおもちゃ~>

子どもの心身の発達には、遊び道具・おもちゃが大切なのは誰しも同意することと思いますが、どんなおもちゃ・道具で遊ばせればいいか?ということについては、少しじっくりと考えてみる必要がありそうです。本ブログの50回(2年前)でも、有益・有効な教材について取り上げまして、似たお話になりますが、今回は「おもちゃ」に焦点を当てて考えてみたいと思います。

現代日本では、知育遊び・知育おもちゃが店頭にはあふれており、どれが本当に子どもの知育発達に良いおもちゃ・教材かがよくわからなくなっている、というのも現代日本の特徴でしょう。子どものための造形作家・早未恵理(はやみりえ)さんは、「子どもにとっては、大人にはがらくたに見えるものも実は宝物であり、それらを使って十二分に想像力を働かせて心から楽しく遊んでおり、そのことによって心身を大いに発達させている」と主張されています。

「お風呂用のおもちゃなんか用意しなくても、身近にあるものでいい。アイスクリーム用の木のスプーンを底に沈めて手を離せば、面白い動きで水面に飛び出してくる。ペットボトルの口を上にして沈めれば、ブクブク・・・と泡。小さな子どもには嫌いな入浴が楽しい遊びに変わってくる。」「親が考えたとおりに遊ぶのが、遊びではない。子どもは、自分で楽しいように遊ぶのが楽しいのだ。高価なおもちゃをあてがわなくても、子どもはいくらでも楽しめる。」(岐阜新聞2011年7月26日「教育を考える~脱ゆとりの時代へ」)

こんなヒントをもらうだけで、日々の生活廃材でたくさんのおもちゃができそうですよね。

<子どもの性教育④話題のバランス>

本欄の前半の方で、(44~47号) 『3000万語の格差 ~赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ~』(ダナ・サスキンド著)の名著をもとに、子どもの心・知能をすくすく・のびのび育むためには、否定語・非難語でないことばを、余裕を持ってシャワーのように投げかけてあげることが大切だ、と述べてきました。子どもへの生活上の話題をふり返ってみると、以下のようなものがあります。

  • 衣・食・住(睡眠)に関する生活習慣・しつけのことば
  • 交通安全などの社会生活のルール・マナーや、地域社会とのつながり・つきあい・人間関係のつむぎ合い(あいさつなど)のことば
  • 社会の出来事について話し合う
  • 音楽・芸術・絵本・物語・文芸など、文化を学び、味わい、楽しむことば

 

これら幅広い話題を、常識・良識・愛情ある保護者・保育者は、子どもの発達段階に応じて(「これわかる?」などのことばかけを通じて)必要だと思ったときにいろいろと話しかけていると思います。そうして、こどもは「おとなっていろんなことを知っているんだな。」と尊敬・信頼し知識・価値観を自分の中にとりこんでいきます。

こうした信頼関係のうえに、性に関する疑問がわいて自然に両親に質問したときは、両親なりのことば・考えでつつましく・率直に・サラッといのちの誕生の意義・意味や喜びを伝えてあげれば、性に関する秘めるべき知識・情報もあるんだな、と得心していくのではないかと思います。

<幼児期の性教育③>

 

最近は、性教育についての考え方も進歩してきて、昔は聞かなかった「プライベートゾーン」ということばが言われて子どもたちに教えることが勧められています。

「プライベートゾーン」とは、体の内部とつながっている直接、妊娠・出産・生命に関わる場所で、他人が勝手に見たり触れたりしてはいけない場所です。具体的には、口・胸・おしり・性器のことで、子どもにはわかりやすく、「水着で隠れる場所と口はプライベートゾーンだよ!」と教えると良いと言われています。たとえ親でもダメ!と教えます。なぜなら近年、性暴力による被害は家庭内でも起こっていると指摘されているためです。

では、プライベートゾーンについて、どんなことを教えていけば良いのか? 6つのポイントを解説します。

①プライベートゾーンは自分だけの大切な場所!

②触って良いのは自分だけ! ただし触るときはきれいな手で!

③誰かが見たり触ろうとしたら「いやだ!」と言ってよい

④人のプライベートゾーンを見たり触ったりしてはいけない

⑤プライベートゾーン以外の場所も自分の体は大切な場所!

⑥誰かに見たり触られたりしたら信頼できる大人に相談する

(ネットからの情報ですが、最近の常識的・良識的な情報だと思います。)