子どもへのまなざし
~子どもの望んだことは、どこまで満たしてあげればいいのでしょうか?~
日々子どもと暮らす中でいろいろと出てくる疑問の主な一つにこのようなものがあります。本ブログの5番目(3月5日公開)で、津守真氏のことば「子どもがさまざまな個性や障害を持って生まれてきても、日々子どもが望むことに応え、配慮をもって関わることの大切さに変わりはない。」を紹介しましたが、この「配慮」のところが難しいなあと思った方も多いのではないでしょうか?それに対して、児童精神科医・佐々木正美氏がわかりやすいアドヴァイスをしていらっしゃいます。
「子どもは、自分でできないからそうしてほしいというのではなく、気持ちを満たしてほしいから、そういっているのです。子どもの望んでいることをきいてあげたからといって、自分でできることも、できない子になってしまうなんていうことはありません。」「子どもは、だっこして、おんぶして、食べさせて欲しいなどと、いつまでも言うわけではありませんから、子どもが望んでいる間は、望んだ通りにしてあげても大丈夫です。お母さんに頼めば、たいていのことはいつでもやってくれるということが、子どもの中に十分伝われば、そのあとは自分でどんどんやり始めますよ。」「本来、子どもというのは、なんでも自分で自立して行動したがっているんです。子どもたちは失敗をしたり、いらいらしながらも、自分一人で何かができたとき、はじめて充実した気持ちを味わうものなんです。そういうことを一つ一つできることによって、自分に自信を持ち、その過程で主体性をつくっていくわけです。そのためには、まず、親が子どもの望んでいることを本当に受け止め、それを満たしてあげ、子どもがやりたいことを助けてあげることが大切なんです。」ただし、「「もの」を与えるということだけは、節度を守ることにしていました。」「たとえ簡単な料理であっても、子どもの要求に、親が自分の手づくりでこたえればこたえるほど、他でつくられた「もの」を要求しないものだと思いました。手づくりでというか、気持ちでというか、自分の心や体や時間でといってもいいですね。」(『続・子どもへのまなざし』福音館書店2001年、28~38頁)
本当に、子どもの心は、保護者・保育者の身体・声・こころを求めていて、「もの」では満たせないのですね。子育ての中での手作りの大切さを私もあらためて学んだアドヴァイスでした。