<「非認知能力(ひにんちのうりょく)」ってどんな能力?>

教育の仕事にたずさわっていると、昭和期や平成の前半期まではあまり聞かなかった「非認知能力の重要さ」「アクティブ・ラーニング」といった話題・問題を最近よく耳にするようになりました。これから、この「非認知能力」について、文部科学省や教育専門家の解説を読み解きながら、理解を深めていきたいと思います。

 

【非認知能力の定義】

非認知能力とは、「意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力のこと全般」で、「学力(認知能力)・教科のテストやIQテストで測られる能力」と対照的な意味で使われます。

 

【非認知能力が注目されるようになった理由・背景】

長期にわたり多数の人々の成育歴と成人後の職歴などを調査し、その研究発表により2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームス・ヘックマンの主張によると、乳幼児期に、愛情深く丁寧で豊富な教育・保育環境で育った人と、そうでない粗雑・粗悪な成育環境で成人した人の間には、生涯収入や社会的業績などにおいて明確な格差が見られた、とのことです。このことに世界中の教育・国家経済の関係者・専門家が注目した、ということです。

 

しかし、文部科学省で定義された説明を読んでも、抽象的で広汎な意義を含むため、具体的な教育・子育てにどう生かせばいいか、つかみにくい印象を持ちますよね。

そこで、さらに教育実践をふまえて教育・保育の論理の構築をめざしている専門家・汐見稔幸さんや大豆生田啓友さん、無藤隆さんらの解説を読んで、私なりに整理し平易にかみ砕いて述べてみましょう。

 

「定義」の8項目をじっくり考えてみると、4つほどにまとめられる気がします。

  • 意欲(自分の興味・関心を持ったことに継続的に熱く集中・探求・思索する気持ち・姿勢)
  • 協調性・コミュニケーション能力(良好な・協力的な・深い人間関係を築く能力)
  • 粘り強さ・忍耐力・計画性・自制心(自分が抱いた夢・目標の実現のため、自分ができそうな計画を立て、他に目をそらさず、粘り強く取り組む力・姿勢)
  • 創造性(他の模倣ではなく、あくまで自分の目標・夢を、他人の評価を気にせずつらぬく)

 

特に幼児期に大切なことは、本ブログ連載の当初のころにも縷々述べていますが、幼児が自分で見つけた夢中になれることを、周囲が温かく見守り、「見て見て!こんなのできたよ!」などの自慢話を、「そうかね、よくがんばったね」と認めてほめてあげる(良好な対話)周囲の大人がいること、子どもにとって「遊び」は「学び」、と理解してあげることです。

(出典:ネット「非認知能力とは?文部科学省での位置づけについて」)