朝、子どもを起こすには、アラームよりも親の地声で名を呼んで

成長期の子どもは、どの年齢でも本来強い睡眠欲求がありますから、特に朝ぐっすり眠っている子を起こすのに苦労されている親さん方も多いと思います。この問題に関して、最近の新聞記事で大変興味深いものがありました。

「滋賀大の大平雅子教授(38)らはある夏休み、小学生13人を研究室に招き、一人ずつ昼寝してもらった。深い眠りに落ちたことを脳波で確認し、待つこと5分。3通りの音声を同じ音量で聞かせ、目覚めるまでの時間を比べた▼ピッピッピの電子音だと平均310秒。それぞれの母親にあらかじめ録音してもらった声だと31秒。見知らぬ女性の声だと26秒だった。二つの声の差は統計学上、誤差の範囲内にあった▼いつものアラームがここまでふるわないとは。「音より声、声より名の方がインパクトが大きいとわかりました」と大平さん。父親の声であれ、声優の声であれ、同様の結論が得られるとみている」実験での声かけには、「「いつまで寝てるの」「いい加減に起きて」は一律に封印をお願いしたそうだ。全国の保護者の皆さん、朝はガミガミ言わなくても名前の連呼だけでどうやら十分。電子音の10倍効きますから。」(朝日新聞・天声人語・2021年8月25日)

この新聞コラムが伝えようとするメッセージは、すこぶる明晰で分かりやすく、私があらためてコメントをつけ加える必要はないようですが、子どもとの生活全体において、温かく柔らか・前向きなことばでの対話・共感と笑い・自然な疑問を親身・謙虚に聞き合える関係、などが普段から成立していることが前提条件でしょうね。

今後、本欄で、テーマ「ことばの教育」のもとに、関連した興味深い話題をいろいろと提供していきたいと思っています。ぜひ続けてお読みください。