ホッとできる先人のことば

園長である私自身、ただ今「イクメン」真っ最中の身で、第一子を賜って、すぐに役立つ保育論をさがしていたときに、貴重な先人の考えに出逢いました。

<児童精神科医・佐々木正美(ささきまさみ)氏の考え

「乳幼児期の育児は、ひとことでいえば、子どもの要求や期待に、できるだけ十分にこたえてあげることです。せんじつめればそれだけのことです。しかし、それがなかなか十分にできないのです。そして、子どもの要求にこたえてあげて、こちらから伝えたいことは、「こうするんでしょ」とおだやかに何回もくり返し伝えればいいのです。

親や保育者の希望ばかりを、子どもに強く伝えすぎてしまう。賞罰を与えたりして早くいい結果を出そうとしたり、大人のほうが楽をしようとする育児がよくないのです。

つぎの時代を生きる子どもたちに、十分に愛されることの喜びを与えること、育児はそれで十分なのですね。人間は愛されることから、生きる喜びを感じはじめるのですから。」

(『子どもへのまなざし』佐々木正美著・福音館1998・P19~20)

乳幼児の保育の要(かなめ)を、端的に・正確にスパッと言い切られた名言だと思います。今の世には「早期教育」という焦(あせ)った教育の危うさがあります。このことを警戒しながら、子どもの能力・発達段階を見極め尊重し、それに合わせて、無理させずやれることを大いにのびのびやれる環境におくことを心がけていきましょう。